基礎知識
コールログとは?記録すべき項目や分析方法、AIを活用するポイントを解説

コールログは、記録項目や分析目的を整理して使えば、応対品質の向上や業務効率化、商品・サービスの改善につなげられる経営資源です。しかし、コールログを記録しているものの、「専門人材がおらず、どう分析すれば良いかわからない」「人手が足りず、分析まで手が回らない」と感じている担当者は少なくありません。
こうした課題の解決策として近年注目を集めているのが、AIを活用した分析方法です。この記事では、コールログの意味や含まれる情報、活用で得られるメリット、分析の進め方、つまずきやすい課題とAI活用による解決策までを順番に説明します。
コールログ活用の次の一手を見つけられる内容となっていますので、最後までご一読ください。
コールログとは
まずはコールログの全体像を押さえておきましょう。ここでは、どのような情報が含まれるのか、そして応対履歴やVoC(Voice of Customer=顧客の声)とどう関係するのかを整理します。基礎知識をあらかじめ整理しておくと、分析手法やデータ活用の方法も理解しやすくなります。
コールログに含まれるおもな情報
コールログとは、電話応対の内容を記録したデータです。一般的には、次のような情報が記録されます。
・通話日時
・顧客情報
・応対した担当者
・問い合わせ内容
・対応結果
このほか、通話の録音データや文字起こし、オペレーターが残す応対メモなどをコールログとして扱う場合もあります。何をどこまで記録するかについて一律の正解はなく、目的に合わせて自社で決めることが必要です。
例えば、問い合わせの傾向を知りたいのか、応対品質を確かめたいのかによって、記録すべき項目は変わります。分析目的や日々の業務フローに合わせて項目をあらかじめ設計しておくと、データ活用の成果を高められます。
コールログと応対履歴・VoCの関係
コールログは、応対履歴やVoC(Voice of Customer:顧客の声)に近い言葉として使われますが、指し示す範囲は少しずつ異なります。
まずコールログは、電話対応にしぼった記録です。一般的には、コールセンターでの通話内容や対応結果などを記録したものを指します。
一方、応対履歴は、電話だけでなくメールやチャットなど、あらゆるチャネルでの顧客対応の内容や結果を記録したものです。また、VoCは顧客から寄せられる意見や要望、不満といった「顧客の声」を表す用語です。
つまり、コールログは応対履歴の一部であり、そこに記録された内容の一部がVoCとして活用されます。このように考えると、各用語の関係を整理しやすくなるでしょう。VoCについては、「VoC(Voice of Customer)とは?顧客の声をビジネスに活用する方法を解説」の記事で詳しく解説しています。
コールログを記録・分析する目的
コールログは、ただ記録しておくだけでは価値ある資産に変えられません。記録を分析することでどのような成果につながるのかを、4つの目的に分けて見ていきます。
問い合わせ傾向を把握するため
コールログを蓄積すると、どのような問い合わせが多いのかを数値で把握できます。
問い合わせの内容は一定ではありません。季節やキャンペーンの実施、商品の仕様変更などをきっかけに、寄せられる質問は移り変わっていくものです。こうした変化を継続的に追えば、いま現場で何が起きているのかもつかめるでしょう。
さらに、よく寄せられる質問を把握できれば、FAQを先回りして整えたり、混み合う時間帯にオペレーターを厚く配置したりと、具体的な対策を講じられるようになります。
顧客対応の品質を平準化するため
同じ問い合わせでも、オペレーターによって説明の仕方や案内する内容にばらつきが出ることがあります。コールログを見比べれば、そのばらつきがどこにあるのかも確認できます。
応対の記録のなかには、顧客が納得しやすい説明や、スムーズに解決へ導いた進め方も残っているはずです。こうした優れた対応をナレッジとしてまとめておくと、新人研修や日々の指導に活用できます。
誰が対応しても一定の水準を保てるようになれば、顧客が受ける印象が安定し、満足度の向上にもつながるでしょう。
商品・サービス改善に活かすため
コールログには、顧客が商品を利用する際につまずいた点や、口にした不満などがそのまま残っています。問い合わせの内容をていねいに読み解くと、商品の説明が足りていない箇所や、サービスの設計そのものに潜む課題が見えてくるはずです。例えば、同じ操作でつまずく顧客が多ければ、使い方の案内を見直す手がかりになるでしょう。
さらに、拾い上げた顧客の声を開発部門や企画部門に届けることも大切です。現場だけで抱え込まず、社内で共有できれば、次の改善施策や商品づくりにも反映しやすくなります。
問い合わせ対応を単なる問題解決の場ではなく、商品を磨くための情報源として位置づけられるのです。
顧客体験を改善し、LTV向上につなげるため
顧客との接点を持つ企業にとって、問い合わせ対応やアフターサポートは、顧客体験を高めるうえで重要です。過去の問い合わせ履歴や寄せられた不満や要望を分析すると、顧客一人ひとりの状況に合わせた案内や提案がしやすくなります。こうした対応の積み重ねが、商品の使いやすさや、企業への信頼向上につながります。
顧客体験が改善して顧客満足度が高まれば、解約や離脱も抑えやすくなるでしょう。満足した顧客は、サービスを使い続けたり、追加で購入したりする可能性もあります。結果として、一人の顧客が生涯にわたって生み出す価値である「LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)」や売上の向上にもつながっていきます。
コールログを活用するメリット
ここまでの説明とも重なりますが、コールログを使いこなすと現場にどのような利点が生まれるのかを、あらためて3つの角度から整理します。
応対後の記録・共有業務を効率化できる
通話の内容をきちんと記録しておくと、担当者同士の引き継ぎがスムーズになります。前回どのようなやり取りがあったのかを履歴でたどれるため、顧客に同じ説明を何度も求める必要がありません。応対のたびにゼロから状況を確認する手間も減らせます。
さらに、音声認識技術による自動文字起こしや、生成AIなどを活用した要約の仕組みを取り入れれば、通話終了後の応対記録の作成や、過去の応対内容の確認にかかる時間も短縮可能です。
記録・確認業務を効率化することで、オペレーターは顧客対応により集中でき、管理者も応対状況の把握や指導をスムーズに行えるようになります。
オペレーター教育やナレッジ共有に活かせる
実際の応対内容が残っていると、良かった応対と見直したい応対を具体的に振り返れます。抽象的な心構えではなく、実際のやり取りをもとに学べる点に価値があります。
よくある問い合わせと、それに対する模範的な受け答えを整理しておけば、そのまま教育資料としても使用可能です。経験の浅いオペレーターも、過去の事例を手本にしながら応対を覚えられます。参考にできる記録がそろっていると、新人が独り立ちするまでの時間を縮めやすくなるでしょう。
クレームや顧客離れの兆候を早期に把握できる
コールログを分析すると、顧客の不満や怒り、解約をほのめかす発言など、顧客離れの兆候を見つけやすくなります。個別の応対だけでは問題の傾向を捉えにくくても、同じ内容のクレームが複数寄せられていれば、商品やサービスに共通する問題が生じている可能性があります。
近年は、AIが膨大なコールログを解析し、不満を示す言葉や解約を示唆する表現、同じクレームの増加などを自動で検知するシステムも活用されています。人手では見落としやすい顧客離れの兆候を、早い段階で把握しやすくなるのが特徴です。
リスクの兆候を示す声を早い段階で拾えれば、大きなトラブルへの発展や、SNSでの炎上を防ぐ手立てを講じられます。同じ不満を抱えた顧客の離脱が広がる前に対策を打つうえでも、兆候を見逃さない仕組みが有効です。
AIを使ったログ分析については、「AIによるログ解析とは?学習モデル構築の手順や注意点を解説」の記事もあわせてご覧ください。
コールログ分析の基本的な進め方
実際にコールログを分析するときは、大きく3つのステップで進めます。
それぞれの段階で取り組む内容を順に見ていきましょう
目的に合わせて記録項目を整理する
最初のステップは、コールログから何を知りたいのかを明確にし、目的に合わせて記録する項目を整理することです。分析の狙いによって、残すべき情報は変わります。問い合わせの分類、顧客の属性、対応の結果、会話中の感情の動きなど、どの切り口で分析するのかを先に決めましょう。
オペレーターごとに記録の仕方がばらばらだと、集めたデータを突き合わせても比較しづらくなります。あとでコンピューターやAIで分析しやすいように、記録のルールを統一することが重要です。
音声データをテキスト化・構造化する
次のステップは、通話の音声をテキスト化して扱いやすい形に整えることです。録音データのままでは、目的の箇所を検索したり、AIに分析させたりするのが難しいため、音声認識技術による文字起こしが欠かせません。
テキストにしたあとは、問い合わせの種別や顧客の感情、対応の結果といった項目ごとに整理しておくと、あとから活用しやすくなります。件数が多いと手作業だけでは追いつきませんが、AIを取り入れれば、要約や分類、重要な発言の抜き出しをまとめて進めることが可能です。
VoC分析で傾向や原因を可視化する
最後のステップは、整えたデータをVoC分析にかけ、傾向や原因を可視化することです。コールログに含まれる顧客の声を分析すると、多くの人が感じている不満や、繰り返し寄せられる要望が浮かび上がります。
AIによるテキストマイニングや感情分析を使えば、数値化しにくい定性的な声も、傾向・パターンとしてとらえることが可能です。テキストマイニングは文章から頻出する言葉や話題を抽出する分析手法で、感情分析とは文章に表れた満足や不満などの感情を読み取る手法です。
そうして見えてきた結果をグラフや報告書にまとめておくと、社内で共有したり、改善案を提案したりする場面で役立ち、分析を現場の行動に結びつけられます。
コールログ分析でよくある課題
コールログの分析は、いざ取り組むと思うように進まないこともあります。ここでは、多くの現場でつまずきやすい課題を3つ取り上げ、それぞれの乗り越え方も併せて説明します。落とし穴を先に知っておくと、対策を立てやすくなるでしょう。
入力内容や分類ルールにばらつきが出る
一つ目は、記録や分類のルールが統一されておらず、集計結果にばらつきが生まれ、分析の精度が下がるという課題です。
オペレーターごとに記録の細かさや言葉の選び方が違うと、あとから集計・分析しづらくなります。問い合わせの分類や対応結果の入力ルールが決まっていなければ、件数の集計だけでなく、応対内容の一貫した評価やスコアリングも困難です。
対策としては、まず入力のルールや分類の基準を整えることが必要です。件数が多い場合は、通話内容やオペレーターの記録をAIが解析して問い合わせの種類ごとに自動分類する仕組みを取り入れると、担当者ごとの判断の違いを減らし、分類結果のばらつきを抑えやすくなります。
音声データや自由記述にノイズが多い
二つ目は、音声データや自由記述の中に、分析の妨げとなる情報が混じりやすいという課題です。
実際の会話には、言い淀みや雑談、同じ内容の繰り返しが含まれ、文字起こししたままでは分析しにくいことがあります。自由記述の欄も、表記ゆれや言葉の省略、あいまいな表現、論理の飛躍などが起こりやすいのが特徴です。
そのため、分析前にはノイズ除去と重要箇所の抽出作業が欠かせません。手作業では負担が大きいため、AIを活用してデータの整理や分類、重要箇所の抽出を効率化すれば、分析を進めやすくなり、精度の向上も期待できます。
蓄積したデータを人力で分析しきれない
三つ目は、蓄積したデータを人の手だけでは分析しきれないという課題です。
例えば、クレーム件数を集計するところまではできても、その増減の原因や具体的な改善策まで踏み込めないまま終わるケースがあります。現場や商品企画、マーケティングなどの関係部門に共有できる分析結果が得られなければ、改善にはつながりません。
そのため、分析した内容は報告書としてまとめ、今後の対応方針や打つべき施策のところまで整理しておくことが求められます。人手での対応が難しい場合は、通話内容やオペレーターの記録を取り込み、データの整理・分析、レポートの作成を一気通貫で支援するAIツールを導入する方法もあります。分析を成果に変えるには、データを活用できる仕組みづくりが重要です。
コールログ活用事例
ここでは、実際のAI導入・活用例として、各社の取り組みを紹介します。
サントリーウエルネス株式会社
同社では、通話内容を担当者が手入力していたため、記録の詳しさや精度にばらつきが生じていました。また、録音データを文字起こしする際も、話し言葉を正確にテキスト化し、分析用のデータとして整理する難しさが課題となっていました。
そこで、VoCを分析するAIソリューション「AI Central Voice」を導入し、コールログからVoCデータを自動で生成する仕組みを整備。問い合わせやクレームの内容だけでなく、顧客が置かれた状況や切実な思い、温度感まで含めて整理した結果、必要な情報を検索できる環境を構築できるようになりました。
分析したVoCは、事業部門への改善提案や、リスクの早期発見、新たなニーズの把握に活かされています。将来的には、顧客の近況や過去のやり取りに応じた商品提案にもつなげていく方針です。
詳細:通話データからVoCを構造化。お客様の一次情報を施策判断に活かす
ロート製薬株式会社
同社のコールセンターでは、対応内容の正確性の担保やオペレーターごとの対応品質の均一化と、通話後の記録・分類にかかる後処理業務の効率化との両立が課題となっていました。
そこで「AI Central Voice」を導入し、音声の文字起こしデータをAIが理解して要約・分類する仕組みを構築。商品名や業界特有の表現、聞き取りづらい発言にも柔軟に対応でき、既存の記録方式やノウハウを学習させたうえで、そのまま業務フローに組み込める柔軟性が評価されました。
導入後は後処理時間が削減され、対応品質の向上につながっているほか、負担の大きかった多重タグ付けも自動化されました。蓄積したデータは製品開発や品質改善、マーケティング施策にも活用が進んでいます。
コールログをAIで活用するならAI Central Voice
コールログを人の手だけで分析し続けるには限界があります。件数が増えるほど作業は追いつかなくなり、せっかくの記録が眠ったままになりかねません。
そこで検討したいのが、AIを使った分析という選択肢です。AI Central Voiceは、コールログをはじめとする顧客の声を分析して可視化し、業務改善につなげられるサービスです。
音声の文字起こしから内容の整理、傾向の分析までを支え、担当者が判断や施策づくりに集中できる状態をあと押しします。コールログを蓄積するだけで終わらせず、顧客体験の改善につなげる仕組みを構築できる点が特徴です。
記録したデータの活用に課題をお持ちの場合は、AI Central Voiceの導入をご検討ください。
まとめ:コールログを活用して顧客の声を改善につなげよう
コールログは、顧客対応の記録であると同時に、顧客の生の声を知るための貴重なデータです。ただ残すだけでは活かしきれないため、記録する項目や分析の目的を先に整理し、問い合わせの傾向や不満の原因を読み解くことが欠かせません。
人の手だけでは分析が追いつかないと感じたときは、AI Central VoiceのようなAIツールを導入するのも一つの方法です。コールログを効率的かつ高精度に分析できるようになるため、応対品質の向上や、商品・サービスの開発・改良に活かせます。







