基礎知識
コンタクトセンターとコールセンターとの違いとは?業務内容やAI活用の課題解決策を解説

お客様からの問い合わせは、いまや電話だけではありません。メールやチャット、SNSなど、接点が広がるなかで、コールセンターからコンタクトセンターへの切り替えを検討する企業が増えています。とはいえ、両者は何が違うのか、何から手をつければ良いのか、わからないことも多いはずです。
この記事では、コンタクトセンターとコールセンターとの違いをはじめ、役割や業務内容、それが求められる理由、運営面の課題、そしてAIにより解決する方法まで解説します。窓口づくりの判断材料として本記事を役立ててください。
コンタクトセンターとは?
コンタクトセンターとは、電話やチャット、メール、SNSといった多様なチャネルを活用して顧客に対応する窓口のことです。顧客が使いやすい手段で問い合わせを受けられる点が特徴です。その規模は企業によってさまざまで、数席の小規模なものから、数百席にのぼる大規模なものまであります。
運営の形態もさまざまで、社内に自前のコンタクトセンターを設置している企業もあれば、専門の事業者へ外部委託している企業もあります。
コンタクトセンターとコールセンターの違い
コールセンターは、電話対応に特化した窓口です。これに対してコンタクトセンターは、電話に加えてチャットやメール、SNSなど複数のチャネルで応対するため、顧客と継続的な関係を築きやすいという特徴があります。対応できるチャネルを広げるために、コールセンターからコンタクトセンターへ切り替える企業も少なくないでしょう。
役割の面でも違いがあります。コールセンターは電話による既存顧客へのサポート、いわゆるアフターサービスを中心とするのに対し、コンタクトセンターは見込み客の獲得から既存顧客のロイヤルティ向上まで幅広く対応します。
コンタクトセンターの役割
コンタクトセンターは、単なる問い合わせの窓口にとどまりません。顧客との関係づくりから、社内へのデータ活用まで幅広い役割を担います。ここでは、コンタクトセンターが企業のなかで果たすおもな役割を、3つの観点から解説します。
顧客満足度(CS)・顧客体験(CX)の向上
コンタクトセンターは、顧客と直接やりとりする場です。そのため、応対の質が顧客満足度(CS=Customer Satisfaction)や顧客体験(CX=Customer Experience)に直結します。電話やチャットでの対応のよし悪しは、そのまま企業全体のイメージにも影響を与えます。一度の問い合わせで問題が気持ち良く解決できれば、顧客はその後も安心してその企業・サービスを使い続けるでしょう。
さらに、複数のチャネルを通じて顧客と継続的にかかわることにより、企業への信頼や愛着といったロイヤルティの向上にもつながります。接点が増えるほど、顧客との関係を深める機会も広がります。
顧客満足度について、「顧客満足度とは?CS向上の5つの成功ポイントや具体施策をご紹介」の記事で詳しく解説しています。
また、実際の成功事例については「CS(顧客満足度)向上の取り組み13選!成功事例もご紹介」の記事で紹介していますので、あわせて読んでみてください。
顧客データの蓄積・活用
コンタクトセンターには、顧客から寄せられる要望や質問、クレームといった顧客の声が日々集まります。これらを単にその場で処理して終わらせるのではなく、データとして蓄積していくことが大切です。蓄積した声を分析すれば、顧客が何を求め、どこに不満を感じているのかが見えてきます。その気付きは、商品やサービスの改善や社内における事業判断の材料として活かせます。
さらに、得られたデータをプロダクト開発やマーケティングなど他部門に連携して共有すれば、コンタクトセンターは組織全体の改善を支える存在になるでしょう。
業務効率化
コンタクトセンターを設置すると、これまで各部門に分散していた顧客対応の窓口を一本化できます。問い合わせ窓口がまとまることにより、各部門がこれまで個別に行っていた対応の負担がなくなり、部門間での業務の重複も減らせます。
結果として、人員の削減やコストの削減にもつながるでしょう。近年では、AIを活用した自動応答の導入も進んでいます。よくある質問への一次対応をAIが担えれば、オペレーターはより複雑な対応に集中できるため、さらなる業務の効率化が図られます。窓口の一本化は、コスト面と顧客対応の両面で有効な施策です。
コンタクトセンターの業務
コンタクトセンターの業務は、大きく2つに分けられます。1つは顧客からの連絡を受ける受信業務であり、もう1つはこちらから顧客へ働きかける発信業務です。ここでは、それぞれの代表的な業務について説明します。
インバウンド(受信)業務
インバウンド業務は、顧客からの連絡を受けて対応する受信型の業務です。次のような代表的な業務があります。
問い合わせ対応 | 商品やサービスに関する質問に答え、顧客の疑問を解消します。 | |
クレーム処理 | 不満や指摘をていねいに受け止め、適切な問題解決につなげます。 | |
ヘルプデスク | 操作方法や技術的なトラブルなど、専門的な問い合わせに対応します。 | |
顧客と最初に接する場面が多いため、対応の質が顧客満足度を大きく左右します。
アウトバウンド(発信)業務
アウトバウンド業務は、コンタクトセンターから顧客へ働きかける、発信型の業務です。代表的な業務は次のとおりです。
営業活動 | 見込み客や既存顧客へ連絡し、商品やサービスの提案を行います。 | |
市場調査 | 顧客へのヒアリングを通じて、ニーズや満足度などの情報を集めます。 | |
テレフォンアポイントメント | 商談の機会を得るために、顧客に対し訪問や面談の約束を取り付けます。 | |
受け身ではなく、こちらから関係を築きにいく点が受信業務との違いです。
コールセンターではなくコンタクトセンターが求められる理由
近年は、顧客とのコミュニケーション手段が電話だけでなく、チャットやメール、SNSへと多様化し、オムニチャネル化(複数の窓口を連携させる動き)が進んでいます。顧客は、その時々で使いやすい手段を選んで企業に連絡します。そのため、どのチャネルから問い合わせがあっても、一定の品質で応対できる体制が求められるようになりました。電話に特化したコールセンターでは、こうした多様な連絡手段に対し十分に応えられません。
だからこそ、複数のチャネルを束ね、質の高い応対を提供できるコンタクトセンターが現在では必要不可欠です。さらに、近年はCXが重視されており、コンタクトセンターには良質な顧客体験を提供する場としての役割も期待されています。
コンタクトセンターが抱えるVoCの処理限界と運営面の課題
オムニチャネル化によって顧客との接点は増えましたが、ただ窓口を設けるだけではコンタクトセンターはうまく機能しません。増えたチャネルから集まる膨大な顧客の声(VoC=Voice of Customer)を処理しきれず、運営の面でもさまざまな課題が生じます。
ここでは、コンタクトセンターが抱えるVoCの処理の限界と、運営面における課題について解説します。これらの課題の把握が、解決の出発点です。
チャネルごとのサイロ化(分断)により、顧客体験が途切れてしまう
コンタクトセンターでは、電話の録音データ、チャットの履歴、メールの文面が、それぞれ別のシステムに孤立して保存されがちです。すると、一人の顧客がどのような一連の体験をしたのかを、チャネルをまたいで横断的に分析できません。情報がチャネルごとに分断されていると、顧客は問い合わせのたびに同じ説明を繰り返すことになります。「さっきチャットでも伝えたのに」と感じさせてしまえば、顧客満足度の低下に直結するでしょう。
チャネルが増えたからこそ、それらをつないで一つの顧客像としてとらえる仕組みが不可欠です。チャネルごとの分断の解消が、顧客満足度を保つ鍵になります。
手作業のデータ集計により、本来注力すべき現場の育成・標準化が後回しになる
毎日、数千件から数万件と集まる複数のチャネルからのVoCを、現場の管理者であるスーパーバイザー(SV)が手作業でExcelなどに分類・集計しているケースは少なくありません。この方法では、データが反映されるまでにタイムラグが生じてしまいます。
さらに問題なのは、現場の管理者が集計作業に時間を奪われることです。その結果、本来最も力を注ぐべきオペレーターの採用や育成、マニュアルの整備、対応スキルの標準化に時間とコストを割けなくなります。
データをまとめ分析する作業により、現場を強くする取り組みが後回しになってしまいがちです。そのため、集計・分析の自動化が、この悪循環を断つ近道になります。
目先の応対に追われ、全社的な業務改善や体制効率化が遅れてしまう
現場が目先の応対や、特定の時期・時間帯に集中する突発的な入電への対応に追われていると、商品改善やマーケティングに活かせる貴重なVoCが、膨大なログのなかに埋もれてしまいます。
本来なら、単純な問い合わせはAIに任せて顧客の自己解決を促したり、繁忙期に合わせて人員を適切に配置したりといった、運用体制の効率化やDXを進めたいところです。しかし、日々の対応に手いっぱいで、それらが後回しになってしまいます。結果として、生産性が上がらないままコストばかりが膨らみ、VoCを資産に変える前に対応に追われ続けるという構図から抜け出せなくなります。
コンタクトセンターのAIを活用した課題解決策
ここまで解説した課題は、複雑に絡み合っています。これらを解決し、質の高い運営を実現するには、一つの施策だけではなく多角的なアプローチが欠かせません。その鍵を握るのがAIの活用です。ここでは、コンタクトセンターが抱える課題をAIでどのように解決できるのか、具体的なアプローチについて4つの観点から順に解説します。
【CRM・CTIとの連携】音声・テキストデータの全量自動テキスト化と一元管理
まず取り組みたい施策が、データの一元管理です。生成AIや高度な音声認識の技術を使えば、電話の会話もチャットのログも、すべて同じテキストデータとしてリアルタイムに統合できます。さらに、電話回線とパソコンをつなぐCTI(Computer Telephony Integration)と顧客管理システムであるCRM(Customer Relationship Management)を連携させれば、着信と同時にその顧客の全チャネルの応対履歴を画面に表示しながら応対できます。
これにより、情報や業務が特定の担当者に偏る属人化も防げます。全チャネルの情報を一つの画面に表示することにより、平均対応時間の短縮と応対品質の平準化を同時に実現できるため、対応の見通しも良くなるでしょう。
【IVR・チャットボット・FAQの最適化】AIによる問い合わせの自動分類(タグ付け)と構造化
次に有効な策が、問い合わせの自動分類です。バラバラの表現で届くVoCを、AIを用いて顧客の意図や感情、どの機能に対する不満なのかといった切り口で自動的に分類・構造化します。これにより、SVが行っていた集計のコストを大きく削減し、トレンドをリアルタイムで可視化できます。
AIが顧客の意図を正確に分類できれば、自動音声応答システム(IVR=Interactive Voice Response)や24時間対応のチャットボットのシナリオも最適化できるため、オペレーターの一次対応に対する負担を軽減可能です。さらに、不足しているFAQをAIが自動で作成すれば、問い合わせへ先回りできるため入電数そのものを抑えられます。
【リアルタイム応対支援・他部門連携】AIによるナレッジの即時レコメンドと全社的な業務改善
3つめは、リアルタイムでの応対支援と他部門との連携です。AIが過去の類似したチャットや通話ログから、最適な回答候補やFAQを探し出し、対応中のオペレーターへ瞬時にレコメンドします。業務が複雑になっても、オペレーターの負担を抑えつつ生産性を高められます。
さらに、Webサイトやシステムのどこでつまずいてコンタクトセンターへ問い合わせたのかを、構造化したデータから特定し、他部門へ自動的にフィードバックできます。製品やWebサイトの使いやすさ(UX)を根本から改善するきっかけになり、同じデータから現場の支援と製品改善を同時に行える点が強みです。
【アウトソーシングの最適化】AIによる業務の標準化と戦略的な外注
最後は、アウトソーシングの最適化です。AIや各種システムの導入によって、業務が効率化されマニュアル化が進むと、業務の標準化が進みます。標準化が進むほど、繁忙期の運用代行や外注がスムーズになります。
ここで大切な点は、自社で対応すべき業務と外注できる業務を明確に切り分けることです。VoCの分析やコアな顧客対応は自社で担い、定型的な問い合わせ対応は外注する、といった具合です。外注先は、任せられる業務範囲や品質、セキュリティ体制をもとに選びます。こうすることにより、教育の手間やコストを抑えつつ対応リソースを安定させられるため、この切り分けの精度が外注の成否を分けます。
コンタクトセンター・コールセンターは顧客満足度向上の要
この記事では、コンタクトセンターのコールセンターとの違いから役割や業務内容、それが求められる理由、AIによる解決策まで解説しました。顧客との接点が多様化するなかで、複数のチャネルを束ねて一定の品質で応対できるコンタクトセンターは、顧客満足度を高めるための要となります。
AIを活用してデータの一元管理や自動分類、応対支援を進めることにより、現場の負担を抑えつつ質の高い顧客体験を提供できます。まずはお気軽にお問い合わせや資料請求を行ってください。







