サントリーホールディングス株式会社
https://www.suntory.co.jp/独自の分析基準も反映し、目視分類の作業を自動化
導入前の課題
・VoC(お客様の声)分析においては、文脈による意図の判別を目視で行っていたため、慣れた担当者でもデータ分類からグラフ化まで約3日を要していた
・単語ベースの集計ではお客様の声の背景にある真意までを捉えきれず、定量データだけでは見えない仮説やインサイトの抽出に限界を感じていた
・分析の着眼点が個人の経験値やスキルに依存しており、組織全体での標準化に課題感があった
活用方法
・AIが意図を判別し、内容に応じた適切なカテゴリーへ自動で振り分け
・サントリー独自の分類軸に合わせたAIのチューニング
・AIによる新たな分類軸の提案
・ブランド別・部門別の多軸ダッシュボード機能と、「Ask AI」機能(チャット形式)による多面的な分析
効果
期待される効果
・目視による仕分け作業を自動化し、数日を要していた前処理工数を大幅に削減
・サントリー独自の分類、分析にAIをチューニングし、組織全体での分析品質を平準化
・文脈からお客様の真のニーズを構造的に把握し、戦略立案の意思決定を迅速化
導入前の課題
年間7.5万件のVoC「真の意図」判別のための目視分類が負担に
サントリーでは、VoC(お客様の声)を経営の基盤と捉え、年間約7.5万件におよぶ声を商品開発やリスク管理に活用してきましたが、分析の着眼点が個人の経験値に依存し、組織全体で一貫した基準を維持することに課題を感じていました。
また、お客様センターに寄せられる声はSNSとは異なり、問題の経緯や背景を含む長文が多くなっています。そのため、従来のキーワードベースの分析では、お客様の真の意図を把握することにも限界がありました。たとえば「糖質」という言葉が含まれるVoCの場合、成分についての問い合わせと、名称に「糖質」を含む商品への言及が混在します。これらを正しく判別するには担当者が1件ずつ目視で内容を確認する必要があり、分類からグラフ化までに約3日を要していました。
キーワード集計の限界を突破し、膨大なVoCから戦略の種を即座に抽出できる体制を構築するため、文脈理解に強みを持つ「AI Central Voice」を導入しました。
導入の決め手として、機能面に加えて、導入から活用までを支援するサポート体制がありました。分析軸の設計から具体的な活用方法の確立まで共に歩む姿勢は、社内の分析担当者へ導入の意義を説明する際にも大きな後ろ盾となりました。
実は検討段階では、既存の運用変更に対して慎重な意見もありました。
しかし、実際のアウトプットを確認する中で「従来の人手によるキーワード集計では捉えきれなかった視点が得られる」という、導入による変化がチーム内での共通見解となりました。
加えて、「AI Central Voice」による要約やインサイト、アクションプランの提示機能には、サントリー独自の分析基準を反映させた提案をいただきました。実際のアウトプットをチームで確認したところ、導入のメリットを全員で確信でき、採用を決定しました。

活用方法と効果
深掘り分析も効率化、データに基づく判断スピードが向上
この先の予定も含む「AI Central Voice」の具体的活用と、期待する効果は以下の4点です。
1. 目視による分類作業を自動化し、前処理工数を削減
これまでExcelを用いて1件ずつ目視で行っていた分類(分析のための前処理)を、AIが自動で処理します。たとえば「カフェイン」に関する声であれば、文脈からお客様の意図を判別し、「妊娠中の摂取への懸念」「お子様への影響」「睡眠への影響」「過剰摂取のリスク」といった、適切な小カテゴリーへ自動で振り分けます。その結果、VoCを分析可能なデータにする準備作業の工数が削減できました。
2. 独自の分析基準に合わせた柔軟な自動分類
サントリーが蓄積してきた「環境志向」や「アレルギー対応」「包材」といった独自の分析軸に合わせて、AIを最適化しています。これまで専門的な知見を持つ担当者が目視で行っていた分類工程を自動化でき、分析の精度と速度が向上します。
3. データの多角的な可視化とAIとの対話による意思決定の迅速化
ダッシュボード上でブランド別の多軸分析や前年比較を即座に切り替えて確認できるほか、今後は「Ask AI」機能の活用により、さらなる省力化と分析の深化を図っていきたいです。膨大な声を自ら読み解く前に、AIが要約やインサイト、アクションプランを「ぱっと」提示してくれることで、分析の取っ掛かりとなる傾向値を即座に把握できるようになります。
このようにAIが文脈を構造的に整理してくれることで、VoCの背景を体系的に把握できるため、より深い分析が可能になりました。さらに、全体の傾向を把握した上で、深掘りすべき箇所を絞り込めるため、分析や示唆出しのスピードの向上を見込んでいます。
要約の根拠となった実際のお客様の声を即座に参照できる機能の実装も予定しており、組織内での分析結果に対する信頼性の向上にも寄与すると期待しています。
4. 分析業務を標準化し、属人化を解消
これまで熟練の分析担当者の経験値に依存していたVoC分析において、AIによる自動分類とダッシュボードでの可視化を組み合わせることで、分析基準の標準化を図ります。これにより、誰もが統一された視点で多角的な分析を行うことが可能になり、組織全体の分析力を底上げする体制を整えます。
今後の展望
VoCの全体像を誰もが即座に把握可能に
今後目指しているのは、VoCを商品開発のヒントやリスク管理の判断材料として活用し、より的確な意思決定に繋げていくことです。次なるフェーズとしては「Ask AI」機能を活用した週次レポートの生成や、リスク兆候の早期検知システムの構築などの取り組みも見据えています。
また、更なる取り組みとして期待しているのがFAQ(よくあるご質問)の自動生成機能です。サントリーでは多数のブランドを展開していますが、新製品の発売時には過去に例のない問い合わせが寄せられることがあります。
「AI Central Voice」は、寄せられた声と既存のFAQを照らし合わせ、不足している回答候補を自動で提案してくれます。人が気づきにくい視点を網羅することで、FAQの品質を継続的に向上させる体制を整えていきたいと考えています。
変化のスピードが増す中で、「VoCの全体像」を誰もが即座に把握できる環境を整えると同時に、VoCを通じて更なる事業成長に貢献していきたいです。